大きな樹。樹には青々と茂った葉がたくさんついていて、私はその下に座っている。木陰で、結構涼しい。 この場所で、私達の関係は始まったね。ある意味で、私の「世界」はここで始まったのかもしれない。 私は思案に耽った。隣に、居ないはずの君のぬくもりを感じながら。 近くにあるホーエル幼稚園の子供達の可愛い声を聞きながら、語り合ったな。 君の幻影を視界に移しながら、私はぼんやりと過ごしていた。 君は、もう感じられない私のぬくもりと、君に愛された私との思い出と一緒に、遠くに居るんだね。 分かりきった言葉を、私は言い続けた。自分に言い聞かせた。そうでもしなければ、私は壊れてしまいそうだった。 空を見上げた。世界を見ている、黄色く光る太陽が私を照らしていた。 君と出会わなければ、私はひどくとげとげしく、「刃の天使」と皆に言われ続けたのだろう。 私は君を見たとき、輝きを感じた。身体からではなく、中身から。魂から。 見てたとき、私の心の、皆を切り裂いた羽根が崩れていくのが分かった。それでよかった。 君に対して、何かを思っていた。もしかしたら、その気持ちを知るために、私は生まれてきたのかもしれない。 「ずっと前から、愛していた。」 自然と、口から漏れた。生まれる前から、いや、それよりもはるか昔から愛していたのかもしれない。 そんなだから、会えなくなって、もっと恋しくなった。 その気持ちが私を締め付けた。胸を押さえる。苦しい。 私は前を見据えた。思った。これからもずっと、私は君を愛し続けるのだろう。 君と出会った時から、周りから拒絶され続けた、まさに地獄のような日々に、楽しみが生まれたんだ。 この樹の葉が散る前に、戻ってきて欲しい。もう一度、抱きしめたい。 私の心に、眠るように沈んでいる、それでいて存在感のある、「会えない」という嘆きが心を閉ざす。 眼を閉じれば、君と過ごした思い出がよみがえる。 一番楽しかった、海の思い出が真っ先によみがえる。耳を澄ませば、さざ波が聞こえてきそうだ。 話を聞かされた夜、私は失意に沈んだ。その時月は、私を励ますように照らしていた。 もう一度、君と言う光を感じたい。私の心に、君という光を蘇らせたいんだ。 君は夢を求めて旅立ったけど、挫折してないか?君の綺麗な夢は、汚れていないか? 私は夢が現実になるように、祈った。死んだような心持ちの私が、生き返る唯一の方法だったのかもしれない。 一年に一回、君は少し大人になって帰ってくるな。毎年、繰り返し。 二週間ほどこっちに滞在したら、また向こうへ、遠くへ行くね。何度も。 その夢を、私は見守っている。だが、私はその度に泣いてしまって、眠れないんだ。 お願いだ。私に、君のぬくもりを感じさせてくれ。愛させてくれ。 会えないのが、どんなに辛いか、君も分かっているんだろう? だから、すぐにでも、戻ってきて欲しい。私は、君をずっと、ずっと前から、愛している。 そして、これからも、ずっと、ずっと。愛しているんだ。
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